米沢の南に、笹野観音あり
米沢市中心街から南へ20分ほど車を走らせたところにある笹野地区。この地に、「あじさい寺」とも呼ばれている「笹野観音」があります。その昔、坂上田村麿呂という平安時代の武官が観音堂と羽黒権現を斜平山(なでらやま)に建立したのがはじまりとされています。その後現在の場所に移され、上杉家が越後を統一した後は、直江兼続が羽黒権現の分霊を笹野観音堂の後神として祀らせました。
現在は千手千眼観音菩薩を本尊とする真言宗の寺院ですが、後伸として祀られている羽黒権現は、もともと観音菩薩を本地仏とする神仏習合の神です。羽黒権現は明治維新の神仏分離・廃仏毀釈によって廃された歴史があり、羽黒権現を祀っていた寺院は羽黒神社あるいは出羽神社となっているのだそう。そんな中、笹野観音は廃仏毀釈を免れて現在でも羽黒権現を祀っている数少ない寺院だそうです。
笹野観音では、毎年1月17日に「十七堂祭(じゅうしちどうさい)」が行われています。祭りのフィナーレには、柴燈(さいとう)護摩の残り火の上を素足で歩き無病息災を祈願する「火渡り」が行われます。一般の人も歩ける、ということで、編集長のちかっぱちとともに出かけてきました!
十七堂祭へ
仁王門には、両側に金剛力士像が安置され境内を守っています。仁王様の堅固な身体にあやかり、健康や足が丈夫になるようにと願って、下駄やわらじなどの履き物が奉納されているんだそうですよ。
さらに進むと、いろんなお店がずらり!わくわく!
色鮮やかな紙花や笹野花(雪深い米沢では、冬に飾る花として用いられてきました)、一刀彫で作られる作品たち、この地区で昔から作られている雪菜と、ふすべ漬け、りんご漬け、玉こんにゃくやそばなどあったかい食べものも!
彫刻も、すごいですね。修行の神様らしい、荒々しい表情の彫刻がたくさん。お賽銭箱に5円玉を入れて、ばいーんと金を鳴らして、今年一年の幸せをお願いしました!
火渡りをするためのお札って、どこで買えるんだろう。近くにいたおばちゃんに聞いて、場所を教えてもらいました。てくてく歩いていると。
札所の壁には、過去の火渡りの写真や絵などが飾られています。お守りなどの販売もされていました。おばあちゃん手作りの甘酒をいただき温まりながら順番待ち(大根汁も無料でふるまわれます)。無事に火渡りのお札を購入しました。
杉の葉を積み上げた護摩壇に点火。ものすごい煙!火伏せの縁起物とされる「笹野花」を手に炎を取り囲み「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」と山伏たちが唱えます。
火渡り
火勢が落ち着くと、足場が整えられていきます。まだ炎が上がるアツアツの木の上を、素足で歩くのです!まずは神主さんと山伏が渡ります。皆、足袋を脱ぎました。ちかっぱちも靴下を脱ぎました。しもやけの小指が痛々しい!10人ほどの山伏たちが一人ずつ、渡っていきます。山伏たちが渡り終わると、いよいよ一般の人のスタートです。「やーっ」と送り出されて渡り切ります。なんとちかっぱちは2番目!まだまだ炎が燃え盛る中飛び込むことに。神主さんに背中を押され、いざ、飛び込みます!
やぁーーーーーーーーっ!!!
無事に渡り切り、今年の無病息災を祈願できました。
ふうー寒かったぁ~~~。吹雪にはならなかったけど、火渡りが始まるまで1時間以上、外に立っていたんだもの。この寒さに耐えるのも、無病息災を祈る大切な時間なのかもしれません。
昔ながらの習慣は、残っているだけの理由がある。厳かな雰囲気と山伏たちの気迫に、終始圧倒されっぱなしでした。取材の為に写真を撮るのが、神事を汚す行為のように思えたくらい。年の初めに十七堂祭に参加して、今年一年を平和で幸せに過ごせるような気持になりました!
火渡りを体験して ちかっぱちの感想
ポンっと押された背中にも熱が入ったようだった。
上へ上へ燃え上がる炎にビビッていたちかっぱちですが、「これは飛び込まねばならない!」という責任感が一気に湧き、赤い炎を踏みしめたもう、無我夢中で。
真ん中まできたあたりで、ふと我に返る。(アツい!結構アツい!!)
仲良くなったおばさまに、そんなに熱くないと聞いていたのでとても焦った。しかし、そこは根性で渡りきった。
渡った先は、雪の地面なはずなのに、全く冷たく感じなかった。
むしろ熱い。
絶対焦げたと内心思いつつ、着いた先で深々とお辞儀をしてその場を去った。
少し泣きそうだった。
貴重な体験である火渡り。そこには、素晴らしい出会いもあった。こんなにも沢山の人と会話をして、一緒に笑い合ったまつりは初めてだった。一期一会とはまさにこの事。年齢や性別、地域や国も越えることができた素晴らしい日となった。
足の裏には、小さな思い出のやけどが残った。
祈願するのを忘れたことは、あんべには内緒。笑
あんべ
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